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2004年3月20日開催「第32回韓日社会フォーラム」「自治体の韓日交流の現状と課題」発表

韓国に恋する福島人
  
発表者:嶋田美江子(福島韓国語・韓国文化ネットワーク)

■ 韓国に恋している福島の主婦

私は今、韓国に恋しています。私は、日本の東北地方の福島県、県北の保原町という小さな田舎町に家族4人で住んでおります。今年のお正月は、お屠蘇の代わりにマッコリに浸り、キムチをつまみ、韓国映画や韓国ドラマにとっぷり漬かって過ごしました。韓国料理が好きで、韓国人が好きで、韓国のことなら何でも知りたいと思っています。これを「恋」と言わず何と言いましょうか。
日本では、ここ数年間、韓国熱風が吹き荒れています。2002年のワールドカップがりましたが、昨年はある韓国ドラマが上陸したことで、一気に韓国のブームを巻き起こしました。多くの日本人女性のハートを射止めた韓国俳優もいます。私もすっかりドラマにはまってしまっている一人です。
でも、ワールドカップや最近のドラマのブームが、それが火付け役になりましたが、私はそれが全てではないと思います。私は少なくとも、それまでにすでに韓国に高い関心を寄せる要素がたくさん散在していたと思います。しかし、すぐに韓国に行ってみるという積極的な行動にまでは発展できなかったのです。そういう意味で、昨今のワールドカップやドラマは、韓国ムードを一気に盛り上げてくれたことは確かです。
昨年の夏、ようやく私は行動しました。福島の中に韓国語と韓国文化を学べる場所を探して行きました。チゲ、チヂミ、キムチなど韓国料理も作れるようになりました。家族も韓国料理には目がないのです。夫も娘や息子もすっかり、私の世界に巻き込んでしまいます。また、私のように韓国に思いを寄せている多くの福島市民の集まりがあります。年末には彼らと韓国を訪れることができました。韓国に来て、韓国の人々に会って、とてつもない親しみを感じました。想像以上に、韓国にはまっていく自分がこわいぐらいです。これは何でしょうか。私は、毎月のように様々な人と韓国にくるようになりました。

■ 福島韓国語・韓国文化ネットワーク(略称・ふくかんねっと)

福島県は東京から新幹線で1時間半の距離です。桃、りんご、なしなどの果物が豊富で、スキーや温泉が町から近いところにあります。ゴルフ場や登山が気軽に楽しめることでも有名です。四季の季節がとても美しいところです。
県庁所在地でもある福島市では、2002年に韓国出身のチョン・ヒョンシル(鄭玄実)先生が代表を務める福島韓国語・韓国文化ネットワークがあります。韓国好きの人が集まったネットワークで、福島と韓国を結ぶ意味として福韓(ふくかん)ねっとと呼んでいます。私もこのネットワークに所属しています。60人以上のメンバーが集って、韓国語を学んだり、韓国文化を学んだりしています。時には、韓国を旅行したり、韓国の人々と交流をすることもあります。他に韓国語を学んでいるグループは県内に、数カ所あります。
 昨年、ふくかんねっとの16人が韓国を訪れ、韓日社会フォーラムの主催のもと、韓国外国語大学の学生たちと交流しました。「僕らは二十歳ぐらいで、軍隊にいかなければならないですが、息子さんはどうですか」と軍隊帰りの学生の話など、活発な会話を交わしました。韓国と日本の家庭における生活、学校生活、日韓関係に対する思い、文化開放、北朝鮮問題など、広い範囲の話題で盛り上がりました。「学生だけでなく、市民の声が聞けてよかった」「大都会ではなく、地方の話が聞けてよかった」と学生たちも興奮した様子でした。今年の1月には、韓日社会フォーラムのチョ・ギュチョル先生が韓国の大学生らとともに福島を訪ねてくれました。二日間、ふくかんねっとの皆さんは福島を案内し、メンバーの自宅にお招きするなど、福島人の心を伝えました。私も、肉じゃがなどの日本料理を作って飛び入り参加しました。
 他にも、ふくかんねっとと韓国のみなさんとの交流はたくさんあります。例えば、ウェルカムトゥ・コリア主催の韓国の伝統芸能パンソリが福島で公演したとき、ふくかんねっとの皆さんが参加しました。その時の手作りリセップションはすばらしかったです。あの有名なチェ・ブラム先生とパンソリの芸術団員の皆さんが、私だちの作ったキムチに舌鼓し、韓国語で歌を歌い、習い始めのつたない韓国語でもたくさんの気持ちが通いあう時間でした。こういった、福島人として、福島の心を伝える活動が楽しくてなりません。ネットの皆さんは韓国が好きだから、韓国語や韓国文化を学び、韓国人と交流したいと思っております。

■ チョン・ヒョンシル(鄭玄実)さんの東北での異文化交流日誌

ふくかんねっとは一つの活動は、チョン・ヒョンシル先生を中心に行っている異文化交流活動があげられます。チョン先生は、福島県のみならず、秋田、山形など東北の広い範囲で異文化を広める精力的な活動を行っております。
チョン先生は、毎週、毎日新聞福島版の「暮らしの中の日韓」コラムを書いており、韓国文化を発信しております。小学校、中学校、高校にも積極的に出かけ、韓国の文化を伝える活動を最も大切にしております。また、町の公民館でキムチを作るときには、私も料理専門家として参加しております。身近な暮らしから日本と韓国の両方の文化をみつめ、公演や文筆活動を通じて、肩肘の張らない文化を広める先生の活動は貴重なものだと思います。
そのような活動が、昨年12月1冊の本になりました。東京でもソウルでもない東北の片田舎から暮らしの中の日韓の文化をつづった『田舎ぐらしの韓国人』という本です。初めて地方発の異文化交流日誌が詰められた本といえるでしょう。
「日本の法事と韓国の祭祀、似ているようでまったく違う。『ありがとう』と『コマウォ』は同じ意味だが、使い形が微妙に異なる。みんな違って、みんな良い」。先生の本は、こういった日本と韓国の文化の違いを、やさしく解いてくれます。韓国に親しみを感じてくれたり、暮らしを見直すきっかけになればという思いが込められている本で、福島で大変な反響を呼びました。福島では、テレビやラジオ、新聞などに頻繁に取り上げられ、韓国文化を接する機会が増えました。韓国と日本文化を比較する本によく見られるよう(チョルラド)という地方の話が中心になっているところも面白いところです。
私達は、普段は先生に韓国語や韓国文化を学んでいますが、先生が活動しやすいようにサポートする役割もします。最近は、福島の人々と韓国を訪れたり、交流することも力を注いでいるところです。

■ 韓国人と韓国語でコミュニケーションしたい

韓国の人々と交流するようになって、真っ先に言葉の壁を感じました。日本語を流暢に話す人に接すると、韓国語がまったく話せない私は恥ずかしくなります。また、韓国の人々と親しくなればなるほど、自分の考えや意見を伝えたくなりました。私は今、韓国の人々ともっと広く、コミュニケーションしたいと切に願っています。そのために、毎週韓国語を学んでいます。交流を通じて、韓国語を学ぶ気持ちに大きい変化があったように思います。
ふくかんねっとの韓国語講座に、最近高校生が多く集まっております。韓国のK−POPが好きです。韓国語を話したい。どうやら、私のように韓国が好きでしかたがないようです。私の娘も高校生ですが、友達は韓国のこととなると、娘に聞いてくるようです。すっかり韓国好きの母が知られてしまっています。私だちの世代と違って、若い世代にははじめから韓国が身近に感じるようです。本当にうらやましいかぎりです。
私の両親は、私が韓国に行くと無事に帰ったか心配をします。今も古い世代は韓国のことが遠い国のようです。私は、福島のお年寄り10人ほどのお年よりにお供して韓国を旅行したことがあります。皆さんは韓国に来たことで、韓国のことがとっても身近に感じられたと、感動しておりました。今、私の周りに韓国に行きたいという人がたくさんあります。より多くの人が、韓国語に関心を持ち、韓国にくるようになることが望ましいと思っております。
私は、韓国を知れば知るほど、韓国語のみならず韓国と日本にかかわる歴史を学びたいと思うようになりました。韓国と日本に関して知らないことが多いからです。でも、歴史の本はいろいろな種類があるから注意して選ばなくてはならないと主人にいわれました。韓国人とコミュニケートするために、正しい歴史を学ぶ必要性を感じているこの頃です。

■ まずは、こつこつと、できることから始めたい

私は、ふくかんねっとのチョン・ヒョンシル先生を中心に、これまでと同じように、草の根活動を続けていくつもりです。積極的に韓国の人々と接触していきたいです。市民レベルの交流をしたい。
ふくかんねっとの会員もどんどん増えていく一方です。韓国との交流に携わりたいという人々がもっとたくさんいると、チョン先生は言います。確かに、お料理教室などで、出会う皆さんは、韓国に関心を寄せている人だちでいっぱいです。これからチョン先生を中心に、そういう皆さんを韓国とつなぐことができれば幸いです。まずは、無理をせず、できることから、こつこつとはじめると、チョン先生は言っております。私だちも楽しい交流になるためにがんばっていこうと思います。

<プロフィール>
嶋田美江子(しまだ みえこ)
福島韓国語・韓国文化ネットワーク
 事務局担当
フードコーディーネーター、料理講師